仏教って何?

仏道は、どこを目指しているのか

そのむかし、海辺にバーヒヤという男がいました。僧侶ではありません。戒律を守っていたわけでも、瞑想を積んでいたわけでもない。ある日、いてもたってもいられなくなってブッダのもとへ駆けつけ、教えを乞います。返ってきたのは、ほんの短い一言でした。『...
瞑想・実践

呼吸の瞑想、16の段階——アーナーパーナサティ経を読む

パーリ語経典の中に、呼吸だけを対象にした瞑想法を、最初から最後まで体系的に説いた経典があります。MN118「入出息念経(Ānāpānasati Sutta)」です。この経は、安居(雨季の集中修行期間)を終えた僧侶たちに向けて説かれたと伝えら...
空(シューニャター)

空(śūnyatā):日々の実践にどう活かすか

はじめに——理論から、瞬間の実践へ前稿「空(śūnyatā):各宗派における解釈の比較」では、上座部・中観・唯識・天台華厳・チベット仏教・禅における空性理解の違いを整理しました。本稿ではその続編として、「空の理解を、日々の実践にどう活かすか...
苦(ドゥッカ)

苦にも種類がある——四諦が挙げる、日常のあらゆる不満足

はじめに——宝石の雨を降らせても、満たされなかった王パーリ語の本生譚(ジャータカ)に、こんな王の物語があります(Ja 258, Mandhātu-jātaka)。マンダートゥ王は、左手を右手で軽く打ち合わせるだけで、膝の高さまで宝石の雨が降...
無我(アナッター)

諸行無常・一切皆苦・諸法無我の構造

はじめに——三つの句のうち、なぜ一つだけ言葉が違うのか「諸行無常(しょぎょうむじょう)」はよく知られた言葉です。これと並んでパーリ語経典に登場する定型句に、もう二つの句があります。「一切皆苦(いっさいかいく)」と「諸法無我(しょほうむが)」...
仏教って何?

大乗仏教はいかにして生まれたか

ブッダが亡くなった後、弟子たちは深い喪失感の中にいたはずです。師の言葉を記憶し、伝え、実践する。それが残された者たちの使命でした。最初の数百年間、仏教はそうやって守られ、インド各地に広がっていきます。その間、目指すべき目標はひとつでした——...
日本仏教

念仏とはなにか

比叡山(ひえいざん)は、のちに浄土宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗など多くの宗派の祖師を輩出した、日本仏教の母山とも呼ばれる修行・学問の拠点です。そこで親鸞(しんらん, 1173–1263)は20年を過ごしました。解脱の手応えはなく、自らの煩悩は...
空(シューニャター)

空(śūnyatā):各宗派における解釈の比較

はじめに——「空」という言葉の困難「空(くう)」は、仏教を象徴する言葉のひとつとして広く知られています。しかし「空とはなにか」という問いに答えようとすると、定義の困難な言葉でもあります。「空っぽということ?」「虚無?」「無?」——こうした理...
仏教って何?

禅ってなんだ?

6世紀の中国での話です。インドから来た僧侶・達磨(だるま)が、当時の皇帝・梁の武帝に謁見しました。武帝は仏教に大変熱心な人物で、たくさんの寺を建て、お経を写し、多くの僧侶に尽くしてきました。武帝はそれを誇らしげに語り、達磨にこう問いかけます...
仏教って何?

チベット仏教とはなにか

ある男の話から始めます。11世紀のチベットに、ミラレパという人物がいました。若いころ、土地を奪った叔父への怒りから黒魔術を学び、多くの人を呪い殺した人物です。後悔した彼は、ある師のもとを訪ねます。師の名はマルパ。でもマルパは彼を弟子と認めず...